賃料増額を怠った場合の立退料への影響

長年にわたり賃貸借が行われているときに、当初決めた賃料のまま改定せず、相場よりも安い賃料が継続しているケースがあります。しかし、いざ、建物を再築するために、賃借人に立退きをお願いした場合、立退料が高額になることがあります。

立退料の算定方法は様々考えられますが、一つの考え方として、差額賃料の数年分を補償することがあります。すなわち、現行賃料が相場よりも安く、近隣に移転すると、賃料差額が生じてしまう場合、その差額賃料の数年分を賃借人の損失として、立退料を支払うことでその損失を填補することがあります。
 公共用地の取得に伴う損失補償基準によれば、近隣の同等条件の移転先物件と現行賃料との差額が、2倍以内の場合には賃料差額の24か月分を、3倍以内の場合には賃料差額の36か月分を補償することになっています。これは、公的収用の際の基準であるため、これが直ちに借地借家法における立退料算定基準になるわけではありませんが、これは参考基準の一つにはなると思われます。
 そうすると、「店子が長年にわたって借りてくれているから」といって感謝や同情の意をこめて、賃料の増額を怠ってしまうと、相場賃料と現行賃料との差額を取り損ねるばかりか、立退料の高額化にもつながり、賃貸人は、二重に損失を被る恐れがあります。

 賃貸借においては、常に賃料を相場に近づけておく努力が必要であり、賃借人管理が極めて重要であるといえます。

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