マンション標準管理規約(単棟型)60条2項には、未納の管理費等の請求に際し、違約金として弁護士費用及び諸費用を請求できると規定しています。ただ、現実にどの程度の弁護士費用を請求できるのかは判断に迷うことがあります。弁護士費用は依頼する弁護士によって異なりますし、交通事故のケースでは実務上概ね損害額の10%程度に限られることが多いからです。裁判では、「違約金としての弁護士費用」として請求できるのは、実際に支払った金額であるとする主張と、裁判所が認める相当額に限られるとする主張とが対立します。
この問題について、東京高裁平成26年4月16日判決(金融・商事判例1445号58頁)では、未払管理費等459万5360円、確定遅延損害金129万6899万円に加え、弁護士費用102万9565円を請求したケースにおいて、弁護士費用全額を違約金として請求を認めました。実際の事例において弁護士費用をどこまで請求するか悩ましいケースも多くありますので、この高裁判決は、滞納管理費回収のコストに悩む管理組合にとっては、朗報だといえます。
なお、この弁護士費用102万9565円は、着手金32万6846円のみならず、報酬金65万3693円も含まれています(いずれも消費税別途)。
本件は上告受理申立がなされているようですので、最高裁の判断が注目されます。