最高裁平成25年1月22日判決は、ゴルフ場経営を目的とする地上権設定契約及び土地賃貸借契約につき借地借家法11条の類推適用をする余地はないとする判断を示しました。
本事案の概略は、ゴルフ場を経営するXが、地主Yに対し、昭和末期に合意した地代の減額請求を行った事案です。
借地借家法11条1項は、土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、将来に向かって地代等の増減を請求することができると定めています。但し、この規定が適用されるのは、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権に限られます(借地借家法2条1号)。
従って、ゴルフ場経営を目的とする地上権又は借地権には、クラブハウス部分はともかく、原則として、借地借家法11条の地代増減額の規定は適用されないことになります。
最高裁は、借地借家法11条を含む借地借家法の規定が、建物所有を目的とする地上権及び土地の賃借権に関する特別の定めであることを強調し、同条を「建物の所有を目的としない地上権設定契約又は賃貸借契約について安易に類推適用すべきものではない」としました。
そのうえで、本件では、ゴルフ場経営を目的とすることが定められているにすぎず、本件土地が建物の所有と関連するような態様で使用されていることも伺われないとして、借地借家法11条の類推適用を否定しました。
もっとも、最高裁も、建物所有目的以外の地上権又は借地権に対し、借地借家法11条の類推適用を全く認めないという判断はしていません。但し、類推適用には非常に慎重な態度を示しています。判決文からは、「建物所有と関連するような態様での使用」をしていることが、ひとつの要件であるとも考えられます。
いずれにせよ、類似の事案を考える際のヒントになる判決だと思われます。