震災による賃貸借終了と敷金返還問題

震災により建物が滅失した場合、賃貸借契約は当然に終了することとなりますが(最高裁昭和42年6月22日判決)、オーナーとテナントとの間にて、そもそも、建物が「滅失」したかどうかが争われることがあります。
つまり、震災により建物が即時に滅失したとなれば、その時点で賃貸借は終了しますが、滅失していないとなると、賃貸借契約は存続し、未払い賃料が積み上がっていくことになります。最終的に、オーナーとテナントとの間において、賃貸借を清算しようとした際、オーナーは、テナントに対し、敷金と未払い賃料を相殺することにより、敷金返還を拒み、一方、テナントは、賃貸借は震災により終了したとして、全額の敷金返還を求めることになるわけです。実際、阪神淡路大震災の際には、敷金・保証金の返還を巡る訴訟が多発したそうです。

大阪高裁平成7年12月20日判決(判例時報1567号104頁)は、震災のあった1月17日に建物が損壊し、同日賃貸借が終了したことを認定し、同日以降未払賃料が発生しないことを認定しました。
さらに、賃借人による動産類の搬出がなされていなかったとしても、建物自体が危険な状態にあり、居住はもちろん、動産類の保管場所としても使用できなかったのだから、明渡義務の不履行責任や、賃料相当損害金の請求もできないとしました。

震災においては、テナントのみならず、オーナーも大きな被害者です。しかも、建物の滅失の場合には、全てのテナントから一斉に敷金返還請求を受けるわけですから、オーナーは、極めて厳しい状況におかれます。
現行法上はこのような対応がやむを得ないとしても、何らかの支援は必要に思われます。

借地・借家に関する記事一覧


Warning: Use of undefined constant date - assumed 'date' (this will throw an Error in a future version of PHP) in /home/hironorimachida/www/wp-content/themes/Hironori-Machida/single.php on line 59
  • 借地・借家
     
    2017年03月27日

    シェアの形態

     オフィスビル賃貸借におけるシェアの形態は、広い意味でとらえると様々なものがあり、従前から行われているものも多くあります。  たとえば、以下のよ...→続きを見る

  • 借地・借家
     
    2017年03月22日

    サブリース形態によるシェアオフィス事業におけるオーナーの法的リスク

     先日のブログにて、シェアオフィスにおける利用者との契約に借地借家法が適用されるかという問題を記載しました。もし、シェアオフィス事業がビルオーナーでは...→続きを見る

  • 借地・借家
     
    2017年03月27日

    シェアオフィス・曜日貸し・時間帯貸しと借地借家法

     近時、様々なシェアビジネスが盛況であり、不動産賃貸借も例外ではありません。シェアハウス、シェアオフィスのみならず、店舗や教室等の曜日貸し(特定の曜日...→続きを見る

  • 借地・借家
     
    2017年03月27日

    DIY型賃貸借

     国土交通省住宅局から、平成28年4月15日、DIY型賃貸借に関する契約書式例及びガイドブックが公表されました。 →続きを見る

  • 借地・借家
     
    2016年03月14日

    賃料増額を怠った場合の立退料への影響

    長年にわたり賃貸借が行われているときに、当初決めた賃料のまま改定せず、相場よりも安い賃料が継続しているケースがあります。しかし、いざ、建物を再築する...→続きを見る

記事カテゴリー一覧

ご相談・ご質問はお気軽に