団地内建物の一括建替え決議と財産権保障

区分所有法70条は、一定の要件の下に、団地内建物の一括建替え決議を規定しています。ところが、この規定が憲法29条の財産権保障に反するとして争われた事件の最高裁判決が、平成21年4月23日に出されました(判例タイムズ1299号121頁)。

区分所有法の建替え決議や団地内建物の一括建替え決議は、特別多数決その他の要件を満たせば、少数の反対者があっても、建替えを進めることができるとするものです(詳細な要件等は条文をご参照ください)。
ところが、建替えに参加しない少数の反対者は、意思に反して建替えが強行され、権利侵害されるし、反対者の保護のための措置もとられていないなどとして、憲法29条の財産権保障の趣旨に反するのではないかという主張が、これまでも議論されることもありました。

区分所有法70条に限らず、同法上の建替え決議は、民法上の共有の原則(権利変更の場合には全員の同意を要する。民法251条)を変更するものですが、特別多数決の要求と、売渡請求による対価取得等により、財産権に対する合理的制約であるとして、これを是認する見解が多かったように思われます。

本判決は、区分所有法70条の団地内建物の一括建替え決議の規定について、その規制の目的、必要性、内容、規制によって制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を比較考量して判断すれば、区分所有法70条は憲法29条に違反しないとしました。
たしかに、区分所有法における建替えの厳しい要件を見ると、反対者の財産権侵害に配慮した規定となっており、憲法29条に反しているとはいえないと思われます。多数派の建て替えの利益との調和をうまく図っているともいえます。

現在、各地において団地の老朽化により耐震性に問題がある建物も増加しており、建替えを進めるべき必要が高い建物も多く存在します。本判決は、こうした実務面からみても評価できるものです。実際、反対者たる不参加者には、区分所有権の買い取りにより、相応の対価(場合によっては相場以上)の支払いがなされ、また、代替建物の提供が行われることもあり、適正な法の運用により、不参加者への利益配慮が可能と思われます。

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