管理費滞納によるマンションの競売

 区分所有者がマンション管理費を滞納した場合、管理組合は、滞納管理費の請求訴訟を提起し、勝訴判決を得て、当該区分所有者のマンションを強制競売することができます。
 しかし、管理費を滞納しているケースでは、区分所有権に金融機関の抵当権が設定され、また、税金を滞納している場合も多くあります。
 そうした場合に、強制競売を申し立てても、管理組合には配当見込みがないため、強制競売手続は、無剰余取消(民事執行法63条2項)されてしまいます。特に、バブル期に販売されたリゾートマンション等は、現時点での価格が低迷してしまい、競売がうまく進まないケースが多くあるようです。

 競売手続が進まないと、管理費の滞納が益々増え、また、修繕積立金も滞納されると、マンションの修繕もうまく進まないこともあり、管理組合にとっては重大な問題となります。
 そこで、管理費の滞納が、区分所有法6条1項にいう共同利益背反行為に当たり、それによって、マンションの区分所有者の共同生活上の障害が著しくなっており、他の方法では区分所有者の共同生活上の障害を除去して区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるとして、区分所有法59条による競売が認められることがあります。具体的な例として、東京地裁平成19年11月14日判決(判例タイムズ1288号286頁)、東京地裁平成17年5月13日判決(判例タイムズ1218号311頁)があります。

 区分所有法59条による競売は、区分所有権の剥奪を目的とし、配当を全く予定していないため、無剰余取消を定める民事執行法63条は適用されないとする裁判例(東京高裁平成16年5月20日・判例タイムズ1210号170頁)があります。
 また、この競売によって、区分所有権上に存する抵当権が消滅するかについては争いのあるところですが、上記裁判例(東京高裁平成16年5月20日・判例タイムズ1210号170頁)は、消除主義(民事執行法59条1項)を採用し、抵当権は消滅するという立場を採用しました。

 管理費滞納は、管理組合にとって重大な問題であり、区分所有法59条による競売は、その問題解決にとって有効な手段となりえます。

 

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