最近、日本綜合地所がDIP型の会社更生手続を選択したということで話題となっています。
会社更生手続においては、更生管財人が裁判所により選任され、この更生管財人が会社の財産について管理処分権限を持つところに一つの特色がありました。そして、更生管財人は、通常、裁判所が倒産手続に熟練した弁護士を選任していました。
ところが、東京地裁民事第8部は、NBL895号(2008年12月15日号)において、DIP型会社更生手続の運用の導入についての論文を発表し、それ以来、DIP型の会社更生手続が開始される例が見受けられるようになりました。これにより、更生会社の元社長などが、そのまま更生会社の管財人に就任することになったのです。
法的には、既に平成15年4月1日施行の会社更生法において、経営責任のない経営者、管財人、保全管理人等に選任することができることが明文化されていました(会社更生法67条3項、70条1項但書等)。
会社更生手続は、担保権についても更生計画の定めるところによって権利が制限されることになるため、担保権が別除権となり手続外で行使が可能な破産手続や民事再生手続よりも、いわば強力な倒産手続きであり、倒産会社にとって有利な面が多かったところがありました。
ところが、会社更生手続では、上記のとおり、管財人には原則として弁護士が選任され、旧経営陣は、その経営権をはく奪されてしまうため、会社更生手続のメリットにも関わらずその申請が敬遠され、民事再生手続を選択する例の方が多かったという実情がありました。現に、平成19年に東京地裁が受理した会社更生手続事件8件のうち、7件が債権者申立ての事件であり、会社自らが申し立てた事件はわずか1件だったそうです。
そこで、裁判所は、上記のとおり、DIP型の会社更生手続の運用開始したのですが、これにより、より使いやすい制度へと改革されることが期待されています。