先日、借地借家法の改正(事業用借地権の設定期間の改正)について、記事を書きました。事業用借地権の設定期間が、従来、10年以上20年未満であったところ、同改正により、10年以上50年未満とされ、期間設定の幅が広がりました。
そうすると、設定期間が50年以上とされる一般定期借地権との違いが少なくなったように思われますが、事業用借地権と一般定期借地権の違いはどこにあるのでしょうか。
両者の違いについては、一般定期借地権では書面による契約でよいところ、事業用借地権では公正証書によらなければならない等、様々な違いはありますが、一番大きな違いは、契約の目的の違いにあると思われます。
すなわち、一般定期借地権の場合には、建物所有の目的であればよいですが(借地借家法1条)、事業用借地権の場合には、専ら事業のように供する建物の所有を目的としなければならず、さらに、居住の用に供するものについては明確に排除されています(借地借家法24条1項)。
従って、事業者が、テナントビル等を建てる場合には事業用借地権を設定できますが、マンション等を建てて賃貸する目的の場合には、事業用借地権の設定は出来ません。その理由は、居住用の建物の場合には、居住者の居住権の保護を図る必要があり、あまりに短期間の賃貸期間の設定を認めるべきではないからだと思われます。
事業用借地権の設定期間の改正により、事業者にとっても、地主にとっても、借地権設定の幅は広がりましたが、定期借地権を基礎としたマンション開発等は、従前どおり、一般定期借地権によらなければならないことには、留意が必要でしょう。