ここのところ、事業承継の話題が続きましたので、今回は、マンション開発問題に関し、マンション建替え円滑化法(正式にはマンションの建替えの円滑化等に関する法律)について書きたいと思います。
ご存知のとおり、近時は老朽化したマンションの建替えがさかんになっており、新聞・雑誌等でも取り上げられています。当ブログでも、以前、区分所有法のマンション建替え決議について説明をし、その決議にいたるハードルの高さについて触れました。
それでは、無事に建替え決議がなされた後、どのようにして円滑に建替え手続きを進めていったらよいのでしょうか。その一つの道標となるのが、マンション建替え円滑化法です。
マンションを建替える場合には、建替え参加者で組合が成立することになりますが、組合には法人格がないため、工事請負契約等を建替え参加者全員で個別に締結する必要が生じたり、また、建替えに必要な資金の調達も、建替え参加者が個別に行わなければならない等の問題がありました。
また、専有部分を賃貸している場合には、建替えに伴い賃借人に退去をお願いすることになりますが、その退去をめぐって区分所有者たる賃貸人と賃借人との間でトラブルになることもあります。
さらに、建替えの場合には旧マンションをいったん取り壊すため、建物に関する権利が消滅してしまうことになり、金融機関が抵当権の抹消になかなか同意してくれない等の問題がありました。
そこで、こうした問題点を解決するため、平成14年6月19日、マンション建替え円滑化法が公布されるに至りました。
マンション建替え円滑化法では、建替組合に法人格を与えたため、それにより、建替え組合が単独で新築工事請負契約を締結することができるようになりました。
また、従前の旧マンションに関する抵当権、賃借権等の権利を、権利変換手続により、新マンションに移行することが可能となりました。
それ以外にも、建替組合自体が建替え事業に参加しないものに対して区分所有権等の売渡請求をなしうる等、マンション建替えを円滑にするための方策が定められています。
今後はマンション建替え円滑化法を利用した建替えが一層進むと思われ、事例の集積と活用方法のさらなる研究が必要となるでしょう。
マンション建替え円滑化法の特色、魅力等につきましては、今後も当ブログにて随時書いていきたいと考えています。