本日の日経新聞朝刊に、多摩ニュータウンにおけるマンション23棟・640戸の一括建替えが計画されている旨の記事が掲載されていました。全国最大規模の建替え事業となるようです。
通常、マンションにおいて建替えを行うためには、区分所有者及び議決権の各5分の4以上の賛成が必要となります(区分所有法62条1項)。
しかし、団地内の複数の建物を一括して建替えることができれば、住戸数の増加や高層化、出費の抑制等のメリットも少なくありません。
そこで、複数棟のマンションが区分所有法上の「団地」を形成する場合には、一定の要件の下で、団地内建物の一括建替え決議が可能とされています(区分所有法70条1項)。
団地内建物の一括建替え決議を行う場合には、団地内建物全体の区分所有者及び議決権の各5分の4以上の特別多数決が必要ですが、さらに、各棟ごとに、各棟の区分所有者の3分の2以上の者であって、区分所有法38条に規定する議決権の合計の3分の2以上の議決権を有するものの賛成が必要となります(区分所有法70条1項但書)。
要するに、団地全体において、単棟の建替えの場合と同様に5分の4以上の賛成があれば、団地全体の一括建替えの必要性が高いと判断され、各棟においては、3分の2の賛成があれば足りるとされているのです。
今回は区分所有法の「団地」についての説明を省略しましたが、「団地」概念については、世間一般的に用いられる概念と異なり、法的概念です。世間でいう団地が、必ずしも区分所有法上の「団地」に該当するとは限りません。
このあたりの説明については、また機会を見て行いたいと思います。