しばらく前のブログにて、区分所有法の解説書改訂版の執筆のお手伝いをしている旨を書かせていただきましたが、ようやく出版の運びとなりました。
私は、主に、建替え、団地等の改訂作業のお手伝いをしていましたが、街をみると、最近、マンションの建替えが非常に多いように思われます。
マンションには中小規模なものでも数十人単位の区分所有者が居住しており、建替えに向けて計画を立て、集会決議に向けて区分所有者の意思を統一していくという作業は、なかなか大変な作業となります。
マンションの建替えには集会の特別決議が必要ですが、その特別決議が可決された場合には、決議に反対した区分所有者は、建替え事業に参加するか、マンションから退去するかの判断をしなければなりません(建替え決議に賛成した区分所有者等には反対者に対する区分所有権の売渡請求が認められているため、反対者がマンションにその後も居住し続けることは困難です)。
一見すると、反対者にとって酷な制度とも思われますが、一方で、老朽化等の理由により建替えに賛成するものが大多数いるにもかかわらず、若干の反対を理由に建替えができないとすれば、かえって不合理ですし、危険なマンションが存在し続けることは社会的にも好ましくありません。そこで、区分所有法は、建替えについて特別決議を要することとし、両者の調整をしています。
近時は、マンション内において隣人とのお付き合いが希薄なことも多いですから、こうした建替えの際に利害対立が発生した場合には、法的紛争にまで発展することもあります。
マンションの建替えの際には、こうした紛争発生の可能性まで視野に入れつつ、円滑・迅速な建替えの実現を計画していく必要がありそうです。