区分所有権の成立時期

 本日は、これまでの遺言のお話からは離れて、区分所有法のお話です。

 区分所有法関連の本を執筆作業中であることは、以前にも書かせていただきましたが、実際に出版されるのは来年になりそうです(もっとも、今回はあるお方のお手伝い的な執筆であるため、私の名前が表に出ることはなさそうですが)。
 出版するというのは、責任も伴いますし、校正作業等も含めてなかなか大変な作業を伴いますが、その分野については非常に見識も広まります。今後も、こうした機会があれば、積極的に取り組んでいきたいと思います。

 さて、今回は、表題の通り、区分所有法の成立時期について説明します。
 区分所有法は、区分所有権の成立時期について定めていません。建築当初から区分所有建物とすることが前提である場合にはそれほど問題にならないかもしれませんが、従来、通常の建物として取り扱われていた建物を、区分所有の建物として取り扱う必要が生じる場合があります。
 たとえば、相続において、被相続人が1棟のマンションを所有していたが、その相続人らが共有を望まず、かえって、各室を数部屋ずつ区分所有することを望む場合も考えられます。
 マンション全体を相続人全員で共有すると、その変更につき何かと全員の承諾を必要とする(民法251条)など大変不便です。そこで、1棟のマンションを区分所有とした上で、各室を分有することができれば、各相続人は、好きな時期に納得の行く価格でマンション各室を換金でき、現在のように、不動産価格が上昇局面にある状況においては、大変有利であると考えられますし、煩わしい共有関係から逃れることもできます。

 区分所有権は、客観的要件である�構造上の独立性、�利用上の独立性の他、主観的要件として、�区分所有の意思が必要であるとされています。この�区分所有の意思が外部に表示されれば、区分所有権が成立します。
 たとえば、既に表示の登記がなされている建物について建物の区分の登記を申請したり、また、建物の一部を他人に譲渡すれば、区分所有の意思が外部に表示されたといえ、区分所有権が成立するとされています。

 ところで、民法は共有状態の解消のために共有物分割訴訟を認めています。通常、不動産については現物分割が困難な場合が多く、この場合、形式競売により代金を分割する場合も多く見られますが、競売による処分は、一般に売却価格が低額になり、共有者にとってメリットが少ないといわれます。
 しかし、共有建物が区分所有に移行することが可能であれば、共有物分割の訴えにより、当該建物を区分所有建物に移行させ、各室を分有するという現物分割を行うことにより、各共有者は、その持分(各室)を自己の好きな時期に好きな価格で処分することができます。

 このように、建物の区分所有化は、様々な可能性を含んでいるのです。

区分所有法

 すっかり更新がご無沙汰してしまいました。
 7月、8月と急な仕事がいくつか入ったことと、ある程度、生産緑地の問題について整理し終わったことで、しばらく更新をお休みしてしまいました。

 ところで、最近、ある方の執筆協力ということで、区分所有法に関する執筆を行っています。私の担当は、建替え、復旧、団地関係といった区分所有法の後半部分です。
 建替えに関していえば、少々前になりますが、平成14年に区分所有法が改正され、費用の過分性の要件が撤廃されたことにより、マンションの建替えが容易になりました。
 また、近時、マンション建替えのための解体工事中にアスベストが発見され、高額の対策費用のために予算をオーバーしてしまい、建替え事業がストップしてしまうケースもあるようです。

 今後、こうした区分所有法をはじめとするマンション開発の諸問題についても、書いて行きたいと思っています。
 今後とも、当ブログとのお付き合いの程、宜しくお願い致します。

生産緑地の買取価格

 生産緑地の買取は「時価」でなされます。それでは、「時価」とは、いったいいかなる基準で決まるのでしょうか。

 「時価」とは、不動産鑑定士、公官署等の公正な鑑定評価を経た近隣地の正常な取引価格や公示価格を考慮して算出された金額をいいます。
 もともと、生産緑地の買取制度は、生産緑地の所有者に対する権利救済として設けられたものですから、その買取価格たる時価は、生産緑地法の各種の制限が付された土地としての評価額ではなく、市街化区域内にある農地(宅地見込地)としての評価によるべきとされています。

 ただ、そうなると、買取側である市長等は大変な支出を強いられることになります。現実には、市長等が税金により広大な生産緑地を宅地並みの価格で買い取ることは困難と思われ、買取がなされないまま生産緑地指定が解除されるケースが多いようです。

 なお、実際に時価がいくらになるかについては、買い取る者と生産緑地の所有者が協議して定めることになっています。もし、協議がまとまらない場合には、収用委員会に裁決を申請することができ、その裁決により時価が決定されることになります。