2009年8月17日 | 区分所有法 |
区分所有法70条は、一定の要件の下に、団地内建物の一括建替え決議を規定しています。ところが、この規定が憲法29条の財産権保障に反するとして争われた事件の最高裁判決が、平成21年4月23日に出されました(判例タイムズ1299号121頁)。
区分所有法の建替え決議や団地内建物の一括建替え決議は、特別多数決その他の要件を満たせば、少数の反対者があっても、建替えを進めることができるとするものです(詳細な要件等は条文をご参照ください)。
ところが、建替えに参加しない少数の反対者は、意思に反して建替えが強行され、権利侵害されるし、反対者の保護のための措置もとられていないなどとして、憲法29条の財産権保障の趣旨に反するのではないかという主張が、これまでも議論されることもありました。
区分所有法70条に限らず、同法上の建替え決議は、民法上の共有の原則(権利変更の場合には全員の同意を要する。民法251条)を変更するものですが、特別多数決の要求と、売渡請求による対価取得等により、財産権に対する合理的制約であるとして、これを是認する見解が多かったように思われます。
本判決は、区分所有法70条の団地内建物の一括建替え決議の規定について、その規制の目的、必要性、内容、規制によって制限される財産権の種類、性質及び制限の程度等を比較考量して判断すれば、区分所有法70条は憲法29条に違反しないとしました。
たしかに、区分所有法における建替えの厳しい要件を見ると、反対者の財産権侵害に配慮した規定となっており、憲法29条に反しているとはいえないと思われます。多数派の建て替えの利益との調和をうまく図っているともいえます。
現在、各地において団地の老朽化により耐震性に問題がある建物も増加しており、建替えを進めるべき必要が高い建物も多く存在します。本判決は、こうした実務面からみても評価できるものです。実際、反対者たる不参加者には、区分所有権の買い取りにより、相応の対価(場合によっては相場以上)の支払いがなされ、また、代替建物の提供が行われることもあり、適正な法の運用により、不参加者への利益配慮が可能と思われます。
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2009年4月3日 | 区分所有法 |
区分所有者がマンション管理費を滞納した場合、管理組合は、滞納管理費の請求訴訟を提起し、勝訴判決を得て、当該区分所有者のマンションを強制競売することができます。
しかし、管理費を滞納しているケースでは、区分所有権に金融機関の抵当権が設定され、また、税金を滞納している場合も多くあります。
そうした場合に、強制競売を申し立てても、管理組合には配当見込みがないため、強制競売手続は、無剰余取消(民事執行法63条2項)されてしまいます。特に、バブル期に販売されたリゾートマンション等は、現時点での価格が低迷してしまい、競売がうまく進まないケースが多くあるようです。
競売手続が進まないと、管理費の滞納が益々増え、また、修繕積立金も滞納されると、マンションの修繕もうまく進まないこともあり、管理組合にとっては重大な問題となります。
そこで、管理費の滞納が、区分所有法6条1項にいう共同利益背反行為に当たり、それによって、マンションの区分所有者の共同生活上の障害が著しくなっており、他の方法では区分所有者の共同生活上の障害を除去して区分所有者の共同生活の維持を図ることが困難であるとして、区分所有法59条による競売が認められることがあります。具体的な例として、東京地裁平成19年11月14日判決(判例タイムズ1288号286頁)、東京地裁平成17年5月13日判決(判例タイムズ1218号311頁)があります。
区分所有法59条による競売は、区分所有権の剥奪を目的とし、配当を全く予定していないため、無剰余取消を定める民事執行法63条は適用されないとする裁判例(東京高裁平成16年5月20日・判例タイムズ1210号170頁)があります。
また、この競売によって、区分所有権上に存する抵当権が消滅するかについては争いのあるところですが、上記裁判例(東京高裁平成16年5月20日・判例タイムズ1210号170頁)は、消除主義(民事執行法59条1項)を採用し、抵当権は消滅するという立場を採用しました。
管理費滞納は、管理組合にとって重大な問題であり、区分所有法59条による競売は、その問題解決にとって有効な手段となりえます。
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2008年11月26日 | 区分所有法 |
平成20年11月21日、内閣府、法務省、国土交通省により、表題のアンケート調査結果の発表があり、ウェブ上で公開されています。
この調査結果をみると、分譲マンションの建替えの際に、いかに管理組合、管理会社、事業者が苦労をしているかがよく分かります。建替えの際に特定の区分所有者が反対した場合の対応、売渡請求の行使、借家人がいる場合の立退方法、立退料の多寡等、非常に参考になるデータかと思います。
私が個人的に関心があったのは、同アンケートにおいて、今後の立法政策について調査している点です。具体的には、建替え決議の存在だけで借地借家法上の更新拒絶の正当事由が具備されることの是非、建替え決議の存在を要件とする借家権の消滅請求制度の是非等、建替え事業を推進する立場からは高い支持を得ていました。
もっとも、借家人からすれば、一方的に居住権を失うことになるため、借家人の権利保護との調整が不可欠に思います。
今後、こうした制度が実現されるのか、気になるところです。
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